のび太(31)「いらっしゃいませ。」後編 - SSまとめ部

のび太(31)「いらっしゃいませ。」後編

S.H.フィギュアーツ 野比のび太
118: ◆51UnYd7yHM:2013/03/18(月) 15:03:37.48 ID:yyKHaLZAO
のび太「!!!!」ビクッ

着信音が静寂を突き破った。

弾かれたようにケータイに手を伸ばすのび太。

今の音はメール着信だ。

恐る恐る受信ボックスを開き、送り主の名を確認する。



源静香



しずかからの返信だった。

当然、今すぐメールの中身を見たいと思ったが、それと同時に見たくないと望む自分もいた。

見るのが怖い、と。

破裂しそうな程に高鳴る鼓動を感じながら、のび太は深呼吸をした。

そして、メールを開封した。



From 源静香
To Re:張り紙見ました

心配かけてごめんなさい。私は大丈夫です。明日、のび太さんのお店にお邪魔しても良いかしら?



のび太「ぼ、僕の店に?」
131: ◆51UnYd7yHM:2013/03/18(月) 23:22:12.73 ID:yyKHaLZAO
翌日 東京某所の靴屋

のび太「え、えっと新人さん!」ソワソワ

新人「はいっ。」

のび太「そのパンプス、店頭の棚に移動しようか。」ソワソワ

新人「えっ? 良いですけど、これ昨日店頭の棚から移動したばかりですよ?」

のび太「い、いやぁ、やっぱりさぁ、季節感って大事だと思うんだ。今うちにある商品の中で一番季節感があるパンプスって、やっぱりそれだと思うんだよね。」ソワソワ

新人「はぁ・・・」

のび太「ほら、店頭ってお店の顔だしね。やっぱり店頭こそ一番オシャレにするべきだと思ったんだ。」ソワソワ
132: ◆51UnYd7yHM:2013/03/18(月) 23:23:01.43 ID:yyKHaLZAO
新人「わ、分かりました。移動します。じゃあ、店頭のスニーカーと入れ替えるって事で良いですよね?」

のび太「うん。それで良いよ。あっ、それからバイト君。」ソワソワ

バイト「はい?」

のび太「倉庫から脚立持ってきて。このスポットライトの向きが微妙にズレてる。」ソワソワ

バイト「えっ? あぁ、はい。」

バイト(そんなにズレてるかなぁ? 靴にバッチリ光当たってるし問題ないと思うけど・・・)

のび太「後は・・・あれ? この植木、ちゃんと水あげた?」ソワソワ

バイト「はい。さっきあげましたよ。」
133: ◆51UnYd7yHM:2013/03/18(月) 23:27:33.33 ID:yyKHaLZAO
のび太「ん〜、ちょっと葉っぱにハリがないなぁ。もうちょっとあげてみようか。」ソワソワ

新人「だ、ダメですよ! 根腐れしちゃいますから!」

のび太「えっ? そうなの? でも・・・」ソワソワ

新人「『でも』じゃないですよ! ホラ、土が十分濡れてるじゃないですか! この子はこれからちょっとずつ水を飲むんです! これ以上あげたら枯れちゃいますよ!」

のび太「あっ、そ、そうなの? うん、分かった。」ソワソワ

新人「もう!『植物だって生きてるんだから大切にしよう』っておっしゃったの、店長じゃないですか!」
134: ◆51UnYd7yHM:2013/03/18(月) 23:28:16.31 ID:yyKHaLZAO
のび太「ご、ごめんごめん・・・・・・あれ?」ソワソワ

新人「今度は何ですか!?」

のび太「この鏡、よく見たら指紋が付いてるなぁ。多分さっきの親子連れだな。子供さんがベタベタ触ってたから。ごめん、ちょっと乾拭き用の雑巾取って。」ソワソワ

バイト「どうぞ。」サッ

のび太「ありがとう。こういう些細な汚れに気付くか気付かないかでショップの命運は別れるんだよねぇ。」ソワソワ フキフキ

バイト・新人「「・・・・・・」」
135: ◆51UnYd7yHM:2013/03/18(月) 23:29:13.78 ID:yyKHaLZAO
のび太は朝から落ち着かない1日を過ごしていた。

普段から店長として店内の演出や清掃には最大限の注意を払っているつもりだが、今日はその何倍も気合いが入っている。

ほんの微細な汚れ、微妙なズレ。

その一つ一つが目につき、気になって仕方がなかった。

理由は言うまでもなく、しずかが来店するからである。

今までにも何度かしずかが来店した事はあるが、それらは当然ながら全てアポ無しだった。

しずかの接客に就く度、のび太は店内の様々なアラが目につき歯痒い思いをしてきた。
136: ◆51UnYd7yHM:2013/03/18(月) 23:30:06.67 ID:yyKHaLZAO
来るって分かってたらもっと念入りに掃除したのに。

だが今日は来る事が分かっている。

その為、いつしずかが来ても良いように、のび太は朝からフル回転で店内美化に従事していた。



のび太「ふぅ。こんなところかな。後は・・・」

新人「いらっしゃいませ。」

バイト「いらっしゃいませ。」

のび太「!!」クルッ



弾かれたように振り返るのび太。

その視線の先にはしずかが立っていた。

わずか2日間会わなかっただけだが、まるで数十年ぶりの再会であるかのような感覚がのび太を襲った。

しずか「こんにちは。」
137: ◆51UnYd7yHM:2013/03/18(月) 23:32:12.12 ID:yyKHaLZAO
のび太「し、しずかちゃん! いらっしゃい・・・あれ?」

のび太は気が付いた。

しずかの後ろに一人、初老の男性が立っている。

のび太は一見してその人物がしずかの連れ合いだと分かった。

何故ならその人物とは、



?「のび太くん。久しぶりだね。」

のび太「おじさん! ご無沙汰しております!」



しずかの父、源義雄氏だったからである。



義雄「覚えていてくれたのかい。嬉しいなぁ。」

のび太「もちろんですよ! 子供の頃、あんなに何度もご自宅にお邪魔させてもらったんですから! 忘れませんよ!」
138: ◆51UnYd7yHM:2013/03/18(月) 23:33:13.85 ID:yyKHaLZAO
義雄「はははっ。そうだね。のび太くんは本当にしずかと仲良くしてくれていたね。」

のび太「僕の方こそ、しずかさんには本当に良くしてもらって・・・・・・ところで、今日はどうされたんですか?」

義雄「あぁ。今日はね、僕の礼服用の靴を選んでもらいたくて来たんだ。」

のび太「礼服用ですか。」

義雄「あぁ。」

のび太(礼服用って・・・・・・まさか・・・)

のび太「どなたかご結婚なさるんですか?」

義雄「いや。そうじゃなくてね・・・・・・。」

のび太「???」
139: ◆51UnYd7yHM:2013/03/18(月) 23:34:40.16 ID:yyKHaLZAO
義雄「実はね・・・・・・僕の父が、もうあまり長くないみたいなんだ。」

のび太「えっ?」

しずか「のび太さん。私のお店の事で心配かけてごめんなさい。実は一昨日、祖父が危篤になったの。」

のび太「あっ、そ、そう・・・なんだ・・・ 」

しずか「ここ最近、ずっと体調が悪かったのよ。自宅にいても、ほとんどベッドから起きない日が続いて・・・」



しずかの店の臨時休業。

急ごしらえの張り紙。

丸一日返事のなかったメール。

礼服用の紳士靴。

当面の予定が埋まっているというしずかの発言。

のび太の中で、全てのピースが合致した。
140: ◆51UnYd7yHM:2013/03/18(月) 23:38:07.33 ID:yyKHaLZAO
体調の悪化した祖父との別れがいつ訪れるか分からない。

だから当面の予定が埋まっていると言ったのだ。

危篤ともなれば尚更だろう。

そんな状況下にあっては、凝ったな張り紙を用意する事はおろか、メールの返事を打つ暇さえあったハズはない。

そして、来るべき別れの日に備えて、礼服用の靴を新調しようとしている父親の為に、のび太に件の質問をぶつけたのだ。



義雄「前々から父は『こんな先のない命の為に無駄なお金は使わせられない。自分に何かあっても延命治療はするな。』と口癖のように言っていてね。だから今回、危篤となってからも言い付け通り、延命治療はしていないんだ。おそらく、もってあと2日だろう。」

のび太「2日・・・ですか・・・・・・」
141: ◆51UnYd7yHM:2013/03/18(月) 23:40:07.92 ID:yyKHaLZAO
義雄「厳しい父でね、子供の頃はそれはそれは怖かったものさ。だけど、一人の人間として尊敬できる人でもあった。」

義雄「そんな父がいよいよ旅立つからには、僕もできるだけ最良の形で見送りたいと思っているんだ。その為にはまず、僕自身の身だしなみを整えないとね。」

のび太「だから、しずかさんに・・・」

義雄「あぁ。お恥ずかしながら、冠婚葬祭の靴のマナーの事には全く無知でね。黒の革靴なら何でも良いと思っていたんだ。だけど、ふと気になってね。のび太くんに訊いてくれるよう、しずかに頼んだんだよ。」
142: ◆51UnYd7yHM:2013/03/18(月) 23:45:16.17 ID:yyKHaLZAO
しずか「黙っててごめんなさい。でも、祖父の事を話したら、きっとのび太さんは気を遣うと思ったの。」



肉親との別れがいつ訪れるか分からない。

そんな状況の中、笑顔を絶やさず働くというのは、一体どんな気持ちだろう。

前々から体調が悪かったというからには、多少の心づもりはできていた事とは思う。

だがそれにしたって、決して明るい気分でいられたハズはない。

それでもしずかは笑顔を絶やさなかった。

のび太の事を気遣い、悲しみの片鱗すら覗かせなかった。
143: ◆51UnYd7yHM:2013/03/18(月) 23:49:27.54 ID:yyKHaLZAO
それに比べて、自分のなんと小さい事か。

一瞬でもしずかの結婚を懸念し、不安にに取り憑かれていた自分が情けなくて仕方なかった。

本当に結婚であったなら、それはしずかにとっては喜ばしき事である。

それを自分の目線からのみ捉え、さも悲劇的な出来事であるかのように受け止めていた。

実際、しずかを襲っていた事態はそれとは全くの真逆の内容であったというのに。

何なんだ、僕は。

利己的にも程がある。



のび太「ごめんね・・・・・・何も気付いてあげられなくて・・・一番辛いのはしずかちゃんなのに、こんな僕の為に気まで遣わせて・・・」

しずか「気にしないで。私はただ、のび太さんには笑顔でいて欲しいの。のび太さんがお店に来てくれたら、すっごく嬉しいし楽しいの。だから暗い話題はあえて出さなかったのよ。」
144: ◆51UnYd7yHM:2013/03/18(月) 23:52:16.88 ID:yyKHaLZAO
返す言葉もなかった。

ますます自分が嫌になる。

だが、いつまでも自己嫌悪にばかり浸ってはいられない。

二人は靴を必要としている。

大切な人を見送る為の靴を。

そしてその為に、のび太の店を選んだ。

のび太が数ある飲み屋の中からしずかの店を選んだように、二人もまた、数ある靴屋の中からのび太の店を選んだ。

選んでくれた。

ならば、なすべき事は一つだ。



義雄「のび太くん。靴を、選んでもらえるかい?」

のび太「・・・・・・はい。お任せ下さい。」
145: ◆51UnYd7yHM:2013/03/18(月) 23:53:45.75 ID:yyKHaLZAO
のび太は義雄の手をチラリと見やると、踵を返して倉庫へと駆け込んだ。

義雄はスポーツブランドのウォーキングシューズを履いていた。

ソールが分厚く、ライニング(内張り)にも潤沢にクッションがあしらわれているウォーキングシューズは、全体的にゴツゴツしたシルエットになりやすく、外観からはどうしても足の正確なサイズを推測しかねる。

そんな時は手を見るのだ。

人の手の大きさは足の大きさと比例している。

例えば手が大きい人は足も大きく、手の甲が高ければ足の甲も高い。

入社初日に先代店長から教わった事だ。
146: ◆51UnYd7yHM:2013/03/18(月) 23:55:20.98 ID:yyKHaLZAO
あの手を見る限り、義雄の足のサイズは24.5センチだ。

加えて幅が細く、男性としては比較的スマートで華奢な足つきをしていると思われる。

その足の形に対応でき、その上で最高の身だしなみ、すなわちフォーマルを極めたデザインの靴。

のび太には既に答えが出ていた。

自店のドレスシューズのラインナップは百数十。

そして、それらにそれぞれ23.5〜27までのサイズストックがある。

故に、倉庫に眠る在庫の総数は千をゆうに超える。

だが迷う事などあり得ない。

その一つ一つの特徴や履き心地は全て完璧に把握している。
147: ◆51UnYd7yHM:2013/03/18(月) 23:57:07.37 ID:yyKHaLZAO
のび太は脇目も振らず、その一足を棚から抜き取った。

両手でしっかりと抱え、義雄の元へと駆け戻る。



のび太「おじさん。お待たせしました。」

義雄「これは?」

のび太「黒のストレートチップです。しずかさんからお聞き及びかと思いますが、昨今、冠婚葬祭における靴の制約はほぼ無くなりつつあります。黒のドレスシューズであれば何でも良いというおじさんの解釈は、決して間違ってはいません。」

のび太「ですが、おじさんは大切なお父様をお見送りなさる上で最もふさわしいお靴を求めておいでです。となれば、やはりストレートチップ以外はないと判断いたしました。」

義雄「ありがとう。僕もしずかから話を聞いて、是非ともそのデザインの靴が欲しいと思っていたんだ。」
148: ◆51UnYd7yHM:2013/03/19(火) 00:02:44.61 ID:yyKHaLZAO
のび太「本当ですか? なら、ご期待に沿えて何よりです。」

のび太「ですが、一口にストレートチップと言っても、実はその中にも更にフォーマルの序列があるんです。」

義雄「そうなのかい?」

のび太「えぇ。その基準となるのがソールとライニングの色です。」

義雄「ライニング?」

のび太「あっ、失礼しました。靴の内張りの事です。ドレスシューズのライニングの色は通常、色落ちによって靴下が汚れないようベージュが使用される事が多いんですが、黒いライニングを使用したドレスシューズもあります。」
149: ◆51UnYd7yHM:2013/03/19(火) 00:04:43.43 ID:yyKHaLZAO
のび太「この黒いライニングの方がベージュよりもフォーマルの度合いが高いんです。そして、ソールも同じく黒い物の方がよりフォーマルとなります。ですので、黒のストレートチップでライニングも黒、ソールも黒。そういったお靴こそ、本当に完璧なフォーマルシューズなんです。」

義雄「なるほど。」

のび太「当店のラインナップの中で、いま申し上げた条件に該当する靴は3つあるんですが、その中でも特にこちらのお靴は幅が狭く、また甲も低い構造となってますので、おじさんの細いお足をしっかり固定するには最適だと思いました。どうぞ、ご試着下さい。」
150: ◆51UnYd7yHM:2013/03/19(火) 00:05:45.07 ID:yyKHaLZAO
義雄「ありがとう。しずかから、のび太くんは人の手を見ただけで足のサイズや形が分かると聞いていたが、本当だったんだね。」スポッ スポッ

のび太「恐縮です。毎日意識して見る癖をつけてると、何となく分かるようになってくるんですよ。履き心地はいかがですか?」

義雄「・・・・・・うん。良いね。靴全体が足に寄り添って来る感じだ。少しキツい気がしないでもないけど、革靴は後で伸びるよね?」
151: ◆51UnYd7yHM:2013/03/19(火) 00:07:00.65 ID:yyKHaLZAO
のび太「よくご存知で。おっしゃる通り、革は持ち主の足の形に合わせて伸びます。伸びるという事はサイズが大きくなるという事です。ですので、最初は少しキツいぐらいでないといけません。痛くない程度にほどよく締まっている感触が理想的です。そのお靴なら、まさにそのような感触ではないかと思うんですが。」

義雄「あぁ。まさにその通りだよ。歩いてみても・・・」スタスタ

義雄「うん。靴と足が一緒になって動いてくれる。これは良いよ。僕が今まで履いてきたどの革靴より履き心地が良いかも知れない。」
152: ◆51UnYd7yHM:2013/03/19(火) 00:08:45.66 ID:yyKHaLZAO
のび太「光栄です。お足の形としっかり合っているお靴は歩きやすいだけでなく、無駄なシワも入りませんので見た目もすごくキレイなまま履いていただけます。フォーマルの要素を全て押さえていて、尚且つ見た目にも美しい。これが僕のお勧めできる、最高のお靴です。」



そう言ってのび太は言葉を切った。

もうこれ以上何か付け足しても蛇足になる。

先ほどの倉庫へ駆け込むまでの数秒間で、頭の中に自店のドレスシューズの全ラインナップを思い浮かべ、取捨選択と吟味を重ねた結果、この靴を選んだ。
153: ◆51UnYd7yHM:2013/03/19(火) 00:09:40.65 ID:yyKHaLZAO
今までに学んだ知識、経験、そして二人の期待に応えたいという想い。

全てを詰め込んだ末の選択だ。

この靴以外にありえない。

あとは、二人の判断に委ねよう。



義雄「しずか。どうだね?」

しずか「素敵だと思うわ。サイズが合っていれば見映えも良いっていう、のび太さんの言葉の意味がよく分かるもの。それに・・・」

義雄「それに?」

しずか「のび太さんが選んでくれた靴だもの。何の心配もいらないわ。」

のび太「しずかちゃん・・・」
154: ◆51UnYd7yHM:2013/03/19(火) 00:10:09.74 ID:yyKHaLZAO
義雄「そうだね。同感だ。のび太くんは本当に良い物を選んでくれた。のび太くん、この靴をいただくよ。」

のび太「ありがとうございます。では、22680円です。」
155: ◆51UnYd7yHM:2013/03/19(火) 00:11:52.90 ID:yyKHaLZAO
のび太「はい。では、320円のお返しです。」チャリン

のび太「すみません、おじさん。今、レジの調子が悪くてレシートが出せないんです。この手書きの領収証をレシートの代わりとさせて下さい。」

義雄「ありがとう。それで構わないよ。」

のび太「恐れ入ります。」

義雄「のび太くん、ありがとう。本当に良い靴を選んでくれたね。」

のび太「いえ、それは靴屋として当然の事ですから。」

義雄「これで胸を張って父を見送る事ができる。葬儀の後も、一生大切にさせてもらうよ。」

のび太「光栄です・・・・・・あの・・・」
156: ◆51UnYd7yHM:2013/03/19(火) 00:13:09.02 ID:yyKHaLZAO
義雄「ん?」

のび太「その・・・お悔やみ申し上げます・・・って、いま言うのは失礼ですよね。まだ亡くなってないのに・・・えっと・・・」

義雄「ふふふっ。ありがとう。その気持ちだけでも十分だよ。」

のび太「・・・・・・すいません。勉強不足で・・・」

義雄「やはり君は、他人を思いやる心をもった素晴らしい人物のようだね。」

のび太「いやいやいや、そんな! 滅相もないですよ! 僕なんて・・・」

しずか「のび太さん。」

のび太「なに?」

しずか「本当にありがとう。それとね・・・」

のび太「???」
157: ◆51UnYd7yHM:2013/03/19(火) 00:14:01.53 ID:yyKHaLZAO
しずか「さっきののび太さん、すっごくかっこよかったわ。」

のび太「!!!?」ドキッ

義雄「そうだね。やはり、プロが仕事をしている姿はかっこいい物だ。それに、営利目的ではなく、一個人として僕の為に真剣に選んでくれた真心が伝わってきた。それが何よりも嬉しかったよ。」

のび太「・・・・・・。」

義雄「さて、しずか。そろそろ行こうか。」

しずか「そうね。」

のび太「あっ、お出口までご一緒します。」

義雄「いや、ここで良いよ。のび太くん、重ね重ね、今日はありがとう。」
158: ◆51UnYd7yHM:2013/03/19(火) 00:14:41.28 ID:yyKHaLZAO
のび太「いえ、こちらこそ。ありがとうございました。」

しずか「またお店を再開したら連絡するわね。」

のび太「うん。待ってるよ。」

しずか「それじゃ。」

義雄「失礼するよ。」

のび太「ありがとうございました。」ペコッ



二人の姿が見えなくなるまでのび太は見送った。



のび太「ふぅ〜。」



充足感に満ちた深い溜め息をつく。







上手くいった。

気付かれずに済んだ。
159: ◆51UnYd7yHM:2013/03/19(火) 00:20:50.75 ID:yyKHaLZAO
先ほどの接客の中で、のび太は一つウソをつき、そして一つ隠し事をしていた。

レジは不調などきたしておらず、レシートは普通に出てくる。

そして金額。

あの靴は確かに22680円である。

ただし、それは正規価格ではない。

のび太の社員割引を使った場合の価格だ。

あの靴の正規価格は37800円なのである。
160: ◆51UnYd7yHM:2013/03/19(火) 00:22:40.06 ID:yyKHaLZAO
あの靴は皮の腐敗や乾燥を防ぐ為のなめしと呼ばれる工程において、広く一般に流通している塩基性硫酸クロムを用いたクロムなめしではなく、植物から抽出したタンニンによるタンニンなめしを採用している。

そうする事によって型崩れしにくい頑丈さと、深みのある風合いが得られるのである。

しかし、タンニンは皮に浸透させづらい為、その工程には長い作業時間と高い技術が求められる。

当然、価格はクロムなめしの製品よりも高い。

だが、その事は二人には伏せておいた。
161: ◆51UnYd7yHM:2013/03/19(火) 00:23:34.13 ID:yyKHaLZAO
今後、葬儀の準備で何かと出費が嵩むであろう源家から、そんな金額を貰い受ける気にはなれなかった。

何より、この接客は利益目的のそれではない。

二人に要らぬ気を遣わせないよう、倉庫から持って来る際に箱の値札シールも剥がしておいた。

だが、そこまでしておきながらレジを打ったのでは、本来の価格が表示されてしまう。

だからレジの調子が悪いなどとウソをついたのである。

のび太は思った。

我ながら甘いな。

商売人の風上にも置けない甘っちょろさである。

だがそれで良い。
162: ◆51UnYd7yHM:2013/03/19(火) 00:24:59.54 ID:yyKHaLZAO
いつだったか、小学校の頃に担任の先生(せんじょう)先生に向かって『テストをして誰かが最下位の憂き目に遭うのなら、その役目は自分が引き受ける。』といった旨の発言をした事があった。

あの時は例によって自身の怠惰な学習態度を咎められた際の咄嗟の言い訳だったが、今になって振り返ってみると、あながち間違ってはいないように思える。

自動化、マニュアル化が高収益への近道とされている昨今にあって、靴屋はわざわざ対面接客で物を売らなければいけない難儀な職種だ。

人間が行う仕事だ。
163: ◆51UnYd7yHM:2013/03/19(火) 00:26:52.29 ID:yyKHaLZAO
ならば、そこに人情を差し挟んだって良いじゃないか。

他人の喜びを自身の喜びとする、そんな暑苦しい店が一件ぐらいあったって良いじゃないか。

引き込もっていた当時ののび太が、今のこんな自分を見たらどう思うだろう。

きっと『社畜だ』『オワコンだ』と嘲笑するに決まっていると思った。

いくらでも笑えば良い。

僕は未来の君だ。

君は遅かれ早かれ僕になるんだ。

そして君は知る事になる。

自分は所詮、こうやって誰かを喜ばせる事が大好きな面倒くさい人間なのだと。

だからこの仕事が合っている。
164: ◆51UnYd7yHM:2013/03/19(火) 00:27:47.83 ID:yyKHaLZAO
それは決してオワコンなんかじゃない。

何故ならその心を、優しさを教えてくれたのはドラえもんなのだから。

未来の高性能ロボットが教えてくれた事を、過去の世界の自分がどうしてオワコンだなんて言えよう。

ドラえもんが生まれた未来にも、こんな不器用で面倒くさい職業は残っているのだろうか?

残っていたら嬉しいな。

のび太はそう思った。



のび太「新人さん。バイトくん。」

新人・バイト「「はい。」」

のび太「今のお客様に社割り使った事、お願いだから他の人には」

新人「分かってますよ。」

バイト「ここだけの秘密にしときます。」

のび太「ごめんね。助かるよ。」
182: ◆51UnYd7yHM:2013/03/19(火) 23:18:31.01 ID:yyKHaLZAO
1週間後の休日 のび太のアパート

午後5時過ぎ。

この日、のび太は正午からずっとPCに向かっていた。

明日の店長会議の資料作りである。

本当は出勤日である昨日、暇な時間を利用して店のPCで作ってしまうつもりでいたのだが、予想以上に来客数が多く、ほぼ1日接客に時間を割く事となった。

その為、こうして自宅に持ち帰って作らざるを得なくなってしまったのである。



のび太「あっ・・・・・・あ〜、やっと終わったぁ! ホント、いくつになっても宿題は大嫌いだぁ!」
183: ◆51UnYd7yHM:2013/03/19(火) 23:19:46.86 ID:yyKHaLZAO
体をのけ反らせて盛大に伸びをする。

そして椅子から立ち上がると、半ば倒れ込むようにしてソファに寝そべった。



のび太(あ〜、もう5時だよぉ。晩ごはん面倒くさぁ。卵かけご飯とかですませようかなぁ・・・)

のび太(って、ダメだダメだ。昨日も一昨日も卵かけご飯だったじゃないか。もうそろそろ、まともな物を食べないと。)

のび太(あ〜、でもホント面倒くさいなぁ。外に食べに行こうかなぁ。)

のび太(外に・・・)チラッ

カレンダーに視線を送る。

のび太(しずかちゃんの店、今日から営業再開だったなぁ。)
184: ◆51UnYd7yHM:2013/03/19(火) 23:20:26.50 ID:yyKHaLZAO
しずかと義雄がのび太の店を訪れた2日後、しずかの祖父はこの世を去った。

のび太はシフトの都合上、通夜への参列は難しそうだったので、翌日に半休を取って告別式に参列した。

人間の人望は葬儀の参列者の人数に表れるとはよく言ったものである。

厳格で尊敬できる人物だったと言う義雄の言葉通り、焼香を待つ人々が成す長蛇の列はセレモニーホールの外まで続いていた。

のび太もジャケットの内ポケットから数珠を取り出し、その最後尾に加わる。

のび太まで焼香が回ってきたのは、それから実に20分後である。
185: ◆51UnYd7yHM:2013/03/19(火) 23:21:43.67 ID:yyKHaLZAO
親族席で義雄は参列者の一人一人に深々と頭を垂れていた。

おろしたての黒のダブルスーツに、のび太が選んだ黒のストレートチップ。

その毅然とした立ち振舞いは、まさに喪主の模範例だとのび太は思った。

そしてその隣に、ワンピースタイプの喪服に身を包んだしずかが立っていた。

普段なかなか見る機会のない清廉な喪服姿のしずかに、不謹慎ながら見とれてしまった事は否めない。

焼香を済ませ親族席に礼をし、顔を上げた時、しずかと目が合った。

しずかは優しくのび太を見つめ、小さく笑った・・・ような気がする。

いや、気のせいかも知れない。
186: ◆51UnYd7yHM:2013/03/19(火) 23:23:23.38 ID:yyKHaLZAO
その後、のび太は店に出勤した。

のび太は普段から通勤靴と仕事靴を分けており、店で履くための仕事靴は全てスタッフ控え室に置きっぱなしにしている。

略礼装のブラックスーツなので、靴とベルトとネクタイをワインレッドの物に変えれば1日ぐらいはどうにかなる。

そして1日の仕事を終え、帰路についていた頃にしずかからメールが届いた。

明日と明後日は祖父の遺品整理と休暇を兼ねて引き続き休みを取り、明明後日から再開するらしい。

その明明後日というのが今日なのである。
187: ◆51UnYd7yHM:2013/03/19(火) 23:24:22.70 ID:yyKHaLZAO
のび太(・・・行こうかなぁ。)

のび太(でもなぁ・・・再開と同時にいきなり顔を出すなんて、何か必死すぎて引かれないかなぁ・・・)

のび太(いや、でも、やっぱりきちんと会ってお悔やみの挨拶をするのがマナーだよな。)

のび太(うん。やっぱり行こう。挨拶するのもそうだけど、何よりしずかちゃんに会いたい。)

のび太(だけど・・・)チラッ

時計に目を向ける。

時刻は5時5分だった。
188: ◆51UnYd7yHM:2013/03/19(火) 23:25:25.84 ID:yyKHaLZAO
のび太(6時にオープンだもんなぁ。まぁ、6時ジャストで行くのはさすがに迷惑だろうから、6時15分ぐらいに行けば良いか。となると、家を出るのは5時半ぐらいかな。あと約30分、何をして時間を潰そうか・・・)

のび太(録画してた番組を見るには中途半端だよなぁ。本も全部読み終えたのばかりだし・・・)

のび太(・・・)チラッ

PC(・・・・・・)

のび太「・・・・・・ネットかな。」ムクッ



のび太はゆっくりと起き上がり、椅子に腰掛けた。
189: ◆51UnYd7yHM:2013/03/19(火) 23:27:42.41 ID:yyKHaLZAO
ネットをする時は気を付けなければならない。

ついつい時間を忘れて没頭してしまう事があるからだ。



のび太「何か面白いスレは・・・おっ、新しいおっさんスレだ。どれどれ?」カチカチ

PC(彼氏が「お尻は英語で何?」って真剣に訊いてくる(´;ω;`))

PC(シリアス)

のび太「・・・・・・あっ、あ〜“尻ass”って事か。なるほど。」

のび太「『俺は評価するぜおっさん』っと。」カチャカチャ

のび太「さぁて、他は・・・・・・ん?」
190: ◆51UnYd7yHM:2013/03/19(火) 23:30:29.07 ID:yyKHaLZAO
PC(ZAKK Da GGGの新曲かっこよすぎワロチェケラッタwwwwwwww)



ZAKK Da GGG(ザック ダ スリージー)。

メジャーと契約を交わしていながらリア充やスイーツ()とは一切迎合しない本格派のラップを披露するMCとして日本のヒップホップシーンを牽引するカリスマであり、のび太の旧友ジャイアンその人である。



のび太「ZAKKの新曲? 発売は来週じゃ・・・あっ、そっか。今日からつべでPVが先行公開されるんだっけ。」

のび太「よし、早速つべに飛んでっと。」カチャカチャ
191: ◆51UnYd7yHM:2013/03/19(火) 23:33:53.13 ID:yyKHaLZAO
のび太「おっ、これだな。なになに? 新曲のタイトルは・・・」



『Gianism』



のび太「ジャイアニズム、ってヲイ!」

のび太「はははっ。まさにジャイアンって感じのタイトルだなぁ。きっとまたゴリゴリのヤンチャな曲なんだろうな。」

のび太「よし、再生。」カチッ



PC『It's all mine,Suga baby.俺の物。夢に見たSeventh Heaven手も届く。Yo! その声、瞳、髪も肌もすべて欲しいんだ、ありのまま。そうさ。金、地位、車、Bitch、酒。すべて手にしても足りねえ。俺に身預けて。No one.It's you.お前の愛が要る。だから手に入れる。これがGianism。』



のび太「えっ!? ラブソング!!!?」
192: ◆51UnYd7yHM:2013/03/19(火) 23:38:58.63 ID:yyKHaLZAO
ハイトーンのシンセサイザーが紡ぎだすメロウなトラックに、肩の力を抜いたスムースなフロウが舞い踊るレイドバックしたナンバー。

Gファンクの王道とも言うべきスタイルである。

ヒップホップを学んだ場こそニューヨークではあるが、ジャイアンは自身のサウンドに西海岸・東海岸といったこだわりは持たず、良いと思った物は何でも取り入れてきた。

その結果、プロとして活動する事になった現在、そのレンジの広いトラックメイキングのセンスは強力な武器となって多くのファンを掴むにいたった。
193: ◆51UnYd7yHM:2013/03/19(火) 23:40:08.65 ID:yyKHaLZAO
また、今回の新曲はリリックこそ甘美な愛の言葉で綴られてはいるが、安直にメロディを導入しないラップからは昨今のいわゆる歌物ラッパー達に対する強烈なアンチテーゼが感じられる。

常にヒップホップに対するリスペクトを忘れない芯の通ったスタンスも、彼の人気の一つなのである。



のび太「『Gianism』でまさかのラブソングだとは。でも、良い曲だなぁ。トラックがキレイだし、何よりジャイアンのラップって思わず聞き入っちゃう不思議な魅力があるんだよなぁ。」
194: ◆51UnYd7yHM:2013/03/19(火) 23:40:49.16 ID:yyKHaLZAO
のび太「・・・・・・“お前の愛が要る。だから手に入れる。”、か。」



『お前の物は俺の物』を座右の銘とするジャイアンらしい言い回しである。

しかし、その中身は意中の女性との愛に真っ向から向き合った、極めて実直な愛情表現に他ならない。

そのリリックに、本場ニューヨークで磨いたフロウが更なる説得力を加える事で、極上のラブソングに仕上がっていた。
195: ◆51UnYd7yHM:2013/03/19(火) 23:42:13.07 ID:yyKHaLZAO
のび太(そうだよなぁ。“手に入れる”物なんだよな。黙ってても転がり込んで来るような物じゃないんだ。手に入れなきゃ手に入らない。)

のび太(うん。やっぱり、今日しずかちゃんに会いに行くって決めて正解だったな。)

のび太「ははっ。またジャイアンに背中押されちゃったな。」



その後、のび太はジャイアンのメジャーデビュー曲『My name is G』他、数曲のPVを視聴し、家を出た。
196: ◆51UnYd7yHM:2013/03/19(火) 23:48:56.76 ID:yyKHaLZAO
6時15分 しずかのダイニングバー

ガチャッ

しずか「いらっしゃいませ。」

のび太「やぁ。」

しずか「あっ、のび太さん!」

のび太「一番乗りかな?」

しずか「えぇ。まだ開店から15分だもの。さっ、カウンターにどうぞ。」

のび太「ありがとう。しずかちゃん、この度は誠に御愁傷様でした。お悔やみ申し上げます。」ペコッ

しずか「ありがとうございます。色々お世話になりました。」ペコッ

のび太「お世話だなんて。僕は何もしてないよ。」
197: ◆51UnYd7yHM:2013/03/19(火) 23:50:47.52 ID:yyKHaLZAO
しずか「そんな事ないわ。最高の靴を選んでくれたじゃない。本当にすごく気に入ってたのよ。」

のび太「あぁ、それはね。まぁ、喜んでもらえたなら僕も嬉しいよ。」

しずか「それに、私の事を心の底から心配してくれたじゃない。」

のび太「あ、あぁ・・・・・・」

しずか「本当に嬉しかったわ。」

のび太「・・・そっか。」

しずか「告別式にも来てくれたでしょ?」

のび太「うん。」

しずか「実は私、あのとき少し気が滅入ってたの。ほら、お葬式って何だか『悲しみなさい』っていうような雰囲気が出るじゃない?」
198: ◆51UnYd7yHM:2013/03/19(火) 23:51:35.26 ID:yyKHaLZAO
のび太「分かる分かる。確かにそうだね。」

しずか「もちろん祖父が亡くなって悲しいし寂しいけど、何だか私が感じてる以上の悲しみを演じなきゃいけないような気がして。少し疲れてたの。」

のび太「うん。」

しずか「だから、のび太さんの顔を見た時、なんだかすごく心が軽くなったような気がしたわ。」

のび太「えっ?」ドキッ

しずか「お焼香の後、目が合ったでしょ? あのとき私、嬉しくて笑いそうだったの。もちろんお葬式の最中だからグッと堪えたんだけど。」

のび太「そうだったんだ。」

のび太(やっぱりしずかちゃんは笑ってたんだ・・・)
199: ◆51UnYd7yHM:2013/03/19(火) 23:53:13.77 ID:yyKHaLZAO
しずか「ありがとう。」

のび太「いや、別に・・・」

しずか「お礼に一杯おごるわ。何が良いかしら?」

のび太「えっ? 良いの?」

しずか「えぇ。遠慮しないで。」

のび太「じゃあ、ジャックダニ・・・いや、ワイルドターキー8年をロックで。」

しずか「えっ? ロック? 大丈夫なの? ターキーの8年はジャックより10度も高いのよ?」

のび太「良いんだ。何だか今日はガッツリ飲みたくなってきた。」

しずか「そうなの? 分かったわ。」
200: ◆51UnYd7yHM:2013/03/19(火) 23:54:05.01 ID:yyKHaLZAO
天にも昇る気持ちとはこの事だ。

しずかの力になれた。

しずかの心の中に自分の居場所はあった。

こんな日に飲まなくていつ飲むというのか。



しずか「はい。ターキー8年お待たせしました。」コトッ

のび太「ありがとう。」カラン

グビッ

のび太「!!」

のび太(キッツ!!)

しずか「大丈夫?」

のび太「えっ? う、うん。平気平気! ははっ。」

のび太(もうちょっと氷が溶けるまで置いとこう。)

しずか「もしキツかったらソーダを足してハイボールにするから言ってね。」
201: ◆51UnYd7yHM:2013/03/19(火) 23:54:54.40 ID:yyKHaLZAO
のび太「ありがとう。それにしてもさ、おじいさんのお葬式、すごい参列者だったね。」

しずか「そうね。若い頃から人望のある人だったとは聞いてたけど、まさかあれほどとは思ってなかったわ。」

のび太「変な言い方だけど・・・・・・羨ましいよね。あれだけたくさんの人に偲んでもらえたら。」

しずか「えぇ。最高の人生の終幕じゃないかしら。」

のび太「そうだね。」

しずか「私もあんな風に人生を終えられる人間になりたいわ。」

のび太「大丈夫だよ。しずかちゃんなら。少なくとも、その・・・」

しずか「???」
202: ◆51UnYd7yHM:2013/03/19(火) 23:55:34.74 ID:yyKHaLZAO
のび太「・・・もししずかちゃんが死んだら・・・僕はあの人数を全部足しても足りないぐらい泣いて偲ぶよ。」

しずか「のび太さん・・・」

のび太「って、縁起でもないね。ごめんごめん。この話やめ。」

しずか「ふふふっ。ありがとう。ところで、のび太さん。」

のび太「なに?」

しずか「のび太さんの次のお休みはいつなの?」

のび太「休み? あぁ、えっと、次は5日後だね。」

しずか「5日後? あっ、良いタイミングじゃない。」

のび太「えっ? 何が?」

しずか「5日後ならこのお店の定休日よ。」
203: ◆51UnYd7yHM:2013/03/19(火) 23:56:30.60 ID:yyKHaLZAO
のび太「あぁ、そうだね。」

しずか「そうなのよ。」

のび太「・・・。」

しずか「・・・。」

のび太「・・・。」

しずか「・・・・・・覚えてないの?」

のび太「えっ?」

しずか「ジャイ子ちゃんの映画。」

のび太「あっ!!」

しずか「一緒に行こうって約束したじゃない。」

のび太「ご、ごめん! すっかり忘」アセアセ

しずか「すっかり忘れる程度の用事なのね。なら行かなくても良いんじゃないかしら? 私一人で見てくるわ。」ツンッ
204: ◆51UnYd7yHM:2013/03/19(火) 23:57:48.66 ID:yyKHaLZAO
のび太「あわわわわっ! ごめんなさい! 死ぬほど大事な用事です! どうかご一緒させて下さい!」アタフタ

しずか「ふふふっ。冗談よ。一緒に行きましょう。」

のび太「う、うん! 行こう! 予定空けておくね!」

のび太(やった!)



のび太はグラスを引っ掴むとターキーを一気に飲み干した。



しずか「えっ!? ちょ、ちょっと!」



氷が溶け出して多少は味も薄まっているが、ハイボールに飲み慣れているのび太からすればキツい事に変わりはない。

だが今はそのキツさがむしろ心地よい。

しずかと二人で出掛ける約束をした。

天を昇り切って火星に頭をぶつけそうな気持ちだ。

今日は潰れるまで飲んでやろうとのび太は思った。
205: ◆51UnYd7yHM:2013/03/19(火) 23:58:32.82 ID:yyKHaLZAO
しずか「そんなに一気にあおって・・・」

のび太「おかわり!」

しずか「・・・大丈夫なの?」

のび太「大丈夫! 超大丈夫!」



明日は二日酔いだろうなと思った。

しかも地獄の店長会議だが、もうどうでも良かった。

どうにでもなるという自信もあった。

資料は作ってあるし、何より口八丁手八丁は幼少時代からの得意技だ。

それよりも今はこの時間をもっと楽しみたい。



しずか「あんまり無茶しちゃダメよ。」コトッ

のび太「平気平気〜♪」カラン

しずか「もう。」
206: ◆51UnYd7yHM:2013/03/20(水) 00:06:30.52 ID:yyKHaLZAO
のび太「えへへっ。でもアレだね、僕たちもすっかり良い歳になっちゃったね。」

しずか「嫌味?」ジロッ

のび太「あっ、ごめん! そういう意味じゃないよ! たださ、ホラ、お互いこうやって仕事も板についてきて、お酒も飲むようになって。空き地でサッカーとかラジコンとかやってた頃から、もうずいぶん経ったんだなぁって思ったんだ。」

しずか「そうねぇ。あの頃は自分が大人になるなんて夢にも思ってなかったわね。」

のび太「うん。何かずっとこうやって、毎日勉強して遊んでってのを繰り返すような気がしてたね。」
207: ◆51UnYd7yHM:2013/03/20(水) 00:07:32.04 ID:yyKHaLZAO
しずか「あら? のび太さんは毎日勉強してたのかしら?」

のび太「そ、それは・・・」ギクッ

しずか「ふふふっ。でもホント、あの頃からずいぶん時間が経ったわね。スネ夫さんも結婚するみたいだし。」

のび太「そうだね。」

しずか「たけしさんはどうなのかしら?」

のび太「えっ? どうとは?」

しずか「結婚よ。ラッパーの人ってモテないのかしら?」

のび太「そりゃあモテるんじゃないかなぁ? 特にジャイアンぐらい売れてれば尚更。」

しずか「そうよねぇ。たけしさん、彼女はいないのかしら?」
208: ◆51UnYd7yHM:2013/03/20(水) 00:08:19.67 ID:yyKHaLZAO
のび太「いるみたいだよ。確かギャル系雑誌のモデルさんだって。」

しずか「そうなの!?」

のび太「うん。PVに出てもらった事がきっかけで付き合ったんだって。メールでそう言ってたよ。」

しずか「あっ、たけしさんと連絡取ってるのね。」

のび太「半年前にジャイ子ちゃんからメアドを教えてもらってね。でも、ジャイアン忙しいみたいだから5通に1通ぐらいしか返事は来ないよ。」

しずか「プロの歌手だものねぇ。仕方ないわよ。それにしても、たけしさんとモデルさんかぁ。予想外の組み合わせねぇ。」
209: ◆51UnYd7yHM:2013/03/20(水) 00:09:05.20 ID:yyKHaLZAO
のび太「そうだねぇ・・・・・・ぷっ!」

しずか「ど、どうしたの?」

のび太「くくくくく・・・いや、10センチヒール履いたイケイケの女の子とB系の大男がさぁ、剛田家の居間で正座して結婚の挨拶してる場面を想像したら、もうおっかしくておかしくて! くふははははは!」

しずか「ぷっ! ちょ、ちょっと! くくく・・・失礼よ!」

のび太「Put your 結婚! Put your 結婚!」

しずか「あはははははは! もう! 言うワケないでしょ!」

のび太「はははははっ!」
210: ◆51UnYd7yHM:2013/03/20(水) 00:13:42.52 ID:yyKHaLZAO
しずか「あぁ〜、もう。涙が出てきたわぁ。」フキフキ

のび太「今日イチの大当たりだね。」

しずか「ごちそうさまでした。」

のび太「お粗末さまです。」

しずか「あぁ〜、おかしい。でも、たけしさんならきっと良い旦那さんになりそうね。」

のび太「そうだね。昔から兄貴肌なところはあったし、包容力はあるんじゃないかな?」

しずか「そうよね。」

のび太「あ、待てよ。むしろ逆かな? イケイケギャルの尻に敷かれてたりして。」

しずか「それも考えられるわね。それぐらいの人じゃないとたけしさんの奥さんは務まらないような気がするわ。」

のび太「だね。それに、男は母親似の人を好きになるって言うし。あのカーチャンに似た女の子だとしたら、確実に尻に敷かれてるね。」

しずか「ふふふっ。そうね。ところで、のび太さんは?」

のび太「えっ?」
211: ◆51UnYd7yHM:2013/03/20(水) 00:14:32.16 ID:yyKHaLZAO
しずか「結婚の予定は?」

のび太「い、いやいやいや!」アタフタ

しずか「ないの?」

のび太「ななな、ないよないよ!」ワタワタ

しずか「彼女はいないんだったかしら?」

のび太「いないよ。もちろん・・・」

しずか「気になってる人は?」

のび太「それも別に・・・」



(さぁ、お前ならどうする。)

のび太(!?)



不意に脳内にあの歌が響いた。



(幸福我で掴み取るか。)



のび太(・・・。)



(降伏してなるのか敗北者。)



のび太(僕は・・・。)



(敗北者。)



のび太(僕は・・・。)
212: ◆51UnYd7yHM:2013/03/20(水) 00:15:27.37 ID:yyKHaLZAO
のび太「・・・いや。気になってる人なら・・・いるよ。」







のび太(掴み取る。)







しずか「あらっ!? そうなの!? 」

のび太「うん。」

しずか「私が聞いても良い話かしら?」

のび太「う、うん・・・・・・もちろん。」

しずか「どんな人なの? その、気になってる人って。」



先ほどまでの酔いが嘘のように引いてゆく。

口の中が粘つくほどに乾燥している事に気付き、慌ててターキーで潤そうとするが、そのグラスに伸ばした手は小刻みに震えていた。

これじゃまるでアル中じゃないか。
214: ◆51UnYd7yHM:2013/03/20(水) 00:16:12.23 ID:yyKHaLZAO
のび太「あのね・・・・・・」



アバラを粉砕せんとばかりに鼓動が高鳴る。

声を発しようとする自分と、それを妨げる自分。

相反する二つの自我に翻弄され、言葉は喉の奥で右往左往を繰り返していた。

だが、引き返すワケにはいかない。

今までの自分は、いつも目先の利益や楽しみに埋没する事で大事な課題から目を背けてきた。

今回だってそうだ。

しずかと映画の約束をした事自体は確かに前進と呼べよう。

だが、それはゴールなどでは決してない。
215: ◆51UnYd7yHM:2013/03/20(水) 00:17:55.90 ID:yyKHaLZAO
大事なのはその先だと分かっていながら、その微細な前進から得られた満足感に身を委ているようでは、何も変わらない。







(がんばれ。)



(ドラえもんをがっかりさせない為にもな。)







のび太「・・・・・・しずかちゃん・・・だよ。」

しずか「えっ?」

のび太「・・・・・・僕の気になってる人。」

しずか「・・・・・・あの・・・えっ?」

のび太「・・・・・・僕は、しずかちゃんが好きだ。」

しずか「・・・・・・のび太さん?」
216: ◆51UnYd7yHM:2013/03/20(水) 00:18:49.73 ID:yyKHaLZAO
のび太「・・・ごめん。急すぎるよね。普通はもっとデートしたりメールで思わせ振りな事言ったりして段階を踏む物なんだろうけど、僕にはそんな器用な事できそうにない。お酒の力借りてこんな事言うのも不誠実だって分かってる。でも、僕はやっぱり意気地無しだから、その・・・」

しずか「・・・・・・。」
219: ◆51UnYd7yHM:2013/03/20(水) 00:25:17.80 ID:yyKHaLZAO
のび太「ずっと好きだったんだ。小学生の頃からずっと。こんな何も良いトコのない僕に優しくしてくれて、しずかちゃんに会えるってだけで毎日楽しかったんだ。ホント、何年片想いしてるんだって話だよね。ははっ。昔から意気地無しでぐうたらで、その結果今の今までずっと言えなくて。」

しずか「・・・・・・。」

のび太「でもさ、今回おじいさんの事でしずかちゃんと連絡つかなくなってさ、僕、たった2日連絡取れなかっただけで死ぬほど焦ったんだよね。しずかちゃんと二度と会えないんじゃないかとか、そんな想像してヤキモキしてさ。今から考えたら情けない事この上ないよね。」
220: ◆51UnYd7yHM:2013/03/20(水) 00:26:06.32 ID:yyKHaLZAO
しずか「そんな、情けないだなんて・・・・・・。」

のび太「でさ、しずかちゃんからメールが来た時、もうそれこそ大学の合格発表を見るぐらい緊張したんだ。それで翌日うちの店に来てくれて、しずかちゃんの姿を見た時にさ、すごくホッとしたんだよね。『あぁ、僕はこの2日間こんなに強ばって過ごしてたのか』と思ったよ。それと同時にさ・・・その・・・・・・」

しずか「・・・・・・その?」

のび太「僕はその・・・・・・やっぱり、しずかちゃんの事が大好きなんだなぁって。好きで好きで仕方ないんだなぁって、思ったんだ。僕にはしずかちゃんしかいないんだなぁって。」
221: ◆51UnYd7yHM:2013/03/20(水) 00:27:00.15 ID:yyKHaLZAO
しずか「のび太さん・・・・・」

のび太「ははっ・・・・・・良い歳して何言ってるんだろ。かっこ悪いよね。」

しずか「・・・そんな事ないわよ。」

のび太「いや、かっこ悪いよ。客観的に見て『うわぁ、こんな奴にはなりたくないなぁ』って思うもん。まぁ、なりたくないも何も、他ならぬ自分なんだけどさ。ははっ。」

しずか「ふふっ。」

のび太「えっと、それから・・・・・・他にもその・・・」

しずか「もう良いわよ。」

のび太「いや、まだまだあるんだよ。だって、小学生の頃から」
222: ◆51UnYd7yHM:2013/03/20(水) 00:27:47.66 ID:yyKHaLZAO
しずか「もう十分よ。十分伝わったわ。大切なのは言葉じゃなくて、気持ちでしょ?」

のび太「あっ・・・・・・そ、そうだね・・・」

しずか「嬉しいわ。」

のび太「あ、あのさ、しずかちゃん。僕は・・・僕は・・・」ぜぇぜぇ



いつの間にか息が上がっていた。

思い付くままの思いを思い切りぶつけたため、つい興奮して話しすぎてしまっていたらしい。

のび太は呼吸と気持ちを整えるため、グラスに残っていたターキーを一気に飲み干した。



のび太「僕はしずかちゃんが好きだ。だから・・・」

しずか「うん。」
223: ◆51UnYd7yHM:2013/03/20(水) 00:28:57.05 ID:yyKHaLZAO
のび太「ぼ、僕と付き合・・・う゛!!!!」

しずか「えっ?」



突如、胃から喉へと突き上げるような衝撃を感じた。

それに合わせて、のび太の肩も大きく上下する。

みるみる内に口内に塩味の強い唾液が充満しはじめた。

更には涙が滲み、ボヤけだす視界。

のび太は瞬時に悟った。

これは、マズい。



のび太「ご、ごめん!! ちょっとタイム!!」ガタッ

しずか「のび太さん!?」



のび太は転がり落ちるように椅子から離れ、一直線にトイレへと駆け込んだ。

その間にも更に一度、肩を激しく上下させる。
224: ◆51UnYd7yHM:2013/03/20(水) 00:29:53.53 ID:yyKHaLZAO
トイレのドアを後ろ手で乱暴に閉めたのび太は、鍵をかける事すら忘れて便座の前にしゃがみこんだ。

そして



う゛えっ!! おう゛えっ!! カハッ!! ゲッホゲッホ!!



しずか(・・・・・・最悪。)



ため息と共にしずかの肩ががっくりと落ちた。

その落ちた肩を上げる様子もなく、しずかはカウンターに取り残されたのび太のウィスキーグラスを洗い桶に放り込む。

そして、食器棚からジョッキを一つ取り出した。

クリスタルガイザーをなみなみと注ぎ、カウンターに置く。

今日はもうこれ以上飲ませない方が良い。
225: ◆51UnYd7yHM:2013/03/20(水) 00:30:41.99 ID:yyKHaLZAO
とりあえず、のび太がトイレから出てきたら飲めるだけ水を飲ませよう。

血中アルコール濃度を下げなくては。



しずか「ホントにもう・・・・・・ふふっ。」



昔から決めるべき場面で決められないのがのび太だった。

“ドジ”という言葉がここまで似合う男をしずかは他に知らない。

ドジで臆病で、そのクセ無計画なお調子者。

今日だって大して酒に強くもないクセに忠告を聞かず、50.5度のウィスキーをロックで2杯もあおって自爆している。
226: ◆51UnYd7yHM:2013/03/20(水) 00:31:34.12 ID:yyKHaLZAO
幼少時代はその無計画さと慢心でもってドラえもんの道具を乱用し、とんでもない事態を引き起こした事もあった。

これだけの長い付き合いの中で、のび太のそういった性格に対して一度たりとも苛ついた事がないと言えば嘘になる。

いや、大嘘になる。

すなわち、一度や二度ではない。

もしものび太と付き合ったりしようものなら、今後更にそういった機会は増えるだろう。

だがそれでも良いと思えた。

何故なら、ここまで愚直で心優しい人間もまた、しずかは他に知らないからである。
227: ◆51UnYd7yHM:2013/03/20(水) 00:32:34.07 ID:yyKHaLZAO
昔からイジメられっ子で損な役回りばかり押し付けられてきたのび太。

だが彼は自分がどれだけ傷付けられる事があっても、自分から誰かを傷付けた事は一度たりともない。

常に大真面目で、他人と真っ向から向かい合い、慈しむ気持ちを忘れない人物。

それが野比のび太である。

その証拠に、のび太は先般の祖父の一件においても、誰よりもしずかの事を心配してくれていた。

それはあの必要最低限の言葉で綴られたメールや、2日ぶりにしずかの姿を目にした時に浮かべた安堵の表情からもヒシヒシと感じる事ができた。
228: ◆51UnYd7yHM:2013/03/20(水) 00:38:04.31 ID:yyKHaLZAO
しずか自身も今回の祖父の一件で不安や悲しみに心が囚われそうになった時、何度となくのび太の事を頭に思い描いた。

そうすると、不思議と心が軽くなってゆくのだ。

のび太はこんなにも自分を気にかけてくれている。

とても大きな安心感がそこにはあった。

葬儀の最中ものび太に会いたいと何度も思った。

すると、のび太は本当に現れた。

まるでクリスマスの朝を迎えた子供のように心が弾んだ記憶が、今でも鮮明に残っている。

しずかは思った。

私ものび太さんを必要としているのかな。
229: ◆51UnYd7yHM:2013/03/20(水) 00:38:57.07 ID:yyKHaLZAO
のび太は小学生の頃からしずかに想いを寄せていたと言う。

さすがに、しずかはその頃はまだそんな気持ちを持ち合わせてはいなかった。

だが、やがてその心もいつの間にかのび太の方へと少しずつ引き寄せられていたらしい。

それこそ、“好き”という実感も湧かないほどの、極めてのび太らしいスローな引力によって。

そんなのび太と恋愛しながら共にゆっくり歩んでゆく。

それもまた悪くないんじゃないかとしずかは思った。
230: ◆51UnYd7yHM:2013/03/20(水) 00:40:05.69 ID:yyKHaLZAO
ゲッホゲッホ!! おえっ!!



なおものび太の聞き苦しい嗚咽は続く。

しずかは苦笑いを浮かべ、ラジオのスイッチを入れた。

店内の四隅に設置されたスピーカーから、小気味の良いビートが聞こえてくる。

トイレからの呻き声も少しは紛れるというものだ。



DJ『いや〜、非常に甘い愛の歌ですね。大切な誰かと一緒に聴いたりなんかしてもらえば、二人の愛がますます深まったりするんじゃないでしょうか? はい、というワケで、お送りしましたナンバーは、ラジオネーム・ブタゴリラさんからのリクエスト。来週水曜日発売となりますZAKK Da GGGのニューシングル。「Gianism」でした。』







しずか「のび太さん。不束者ですがよろしくお願いします。」



Fin
231: ◆51UnYd7yHM:2013/03/20(水) 00:40:38.44 ID:yyKHaLZAO
以上です。
ありがとうございました。
232:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします:2013/03/20(水) 00:43:35.75 ID:IHk4C56ho
とても面白かったです。
お疲れ様でした。靴屋頑張って下さい。
237:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします:2013/03/20(水) 00:58:34.27 ID:K878UTPeo
とても面白かった
乙です!
元スレ:http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4ssnip/1363527538/
VCD しずか (リニューアル版)

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2013-03-18 | Comment(1) | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
この記事へのコメント
激しく乙!!(^∀^)
Posted by SSまとめ部員 at 2016.10.21 21:44
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